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2008年5月22日 (木)

安定陸塊の驕り

地理学の教室では安定陸塊(あんていりくかい)という言葉を勉強します。

安定陸塊とは文字通り、安定した陸の塊のことをを言います。

大きな大陸の安定した内陸部を指すことが多くカンブリア紀以降に安定した陸地のことを言います。つまり「造山帯」ではない陸の部分がだいたい安定陸塊です。

主に安定陸塊では大平原や砂漠が発達し、インドのデカン高原やシベリア・オーストラリア・ブラジルなどがその例です。大陸の内陸部にあり、地震がなく地殻変動の極めて少ない陸域であるとされています。

では、今度の中国四川省の地震は何なのでしょう。

ユーラシア大陸東部も安定陸塊に分類されています。ヒマラヤやチベット高原は新規造山帯です。その周辺は古期造山帯にあたります。

成都周辺をgoogle earthで見てみましたが、急峻な山地と平野が連続する雄大な地形が見られます。おそらく造山帯辺縁部で、地殻変動が比較的新しい地形だということが読みとれます。

つまり安定陸塊ではない。

四川省あたりは安定陸塊でない??

ここでふと疑問に思いました。安定陸塊って本当にあるのだろうか?と。

今回の地震は直下型とされ、阪神淡路大震災と同じ性質の地震です。

地震には主に3種類あり、海溝型と火山型と直下型があります。その他にも地下核実験や隕石衝突などの特殊な地震はありますが、だいたいこの3つだけです。

海から遠く離れ、近くに火山がなければ、あとは直下型しか原因はありません。逆に直下型は地殻上どこででも起こりうる地震なのです。

そう思うと安定陸塊なんて地球上どこにも存在しないように思います。

そもそも地殻とは非常に不安定なもので、よく卵の殻に例えられますが、地球内部の液体と外部の気体の境界部分にあたる薄い個体の膜が地殻なのです。

地球内部にはマントルというドロドロした高温の液体が対流し、地球外部では窒素・酸素・アルゴンなどが混合した気体(空気)がこれまた対流しているわけです。

地球外側から中心に向かって、気体(大気):固体(地殻):液体(マントル)を長さの比で表すと120km:30km:6000km=4:1:200となり、たとえば直径4cmの卵の場合、殻がわずか0.2mmしかないことになります。なんとあぶなっかしいことか。

ということは「安定陸塊」なんて言葉は地形学上の幻想でしかないと思います。

地形学には準平原理論というものがあり、デイビスが提唱した「侵食輪廻」という考え方が素になっています。地殻変動により隆起した台地が侵食され、急峻な山谷を形成し、侵食が進むと山はさらに削られ、谷は埋められ、やがてまたほぼ平らな準平原に戻るという理論。地形はこうして隆起と侵食を繰り返ししているという気の遠くなるような時間軸の上の仮説です。

地形学が大好きな私ですが、実のところデイビスのこの仮説にはいささか賛同できかねるところがあります。詳しい話はまた別に取り上げたいと思いますが。

安定陸塊はおそらくこのデイビスの理論の上に成り立っているのではないかと思います。

とにかく、「安定した陸の塊」なんてものはあり得ないと、考えさせられる今度の地震だったと思います。

「日本は地震大国だ」とよく言いますが、結局どこにいても地震の危険からは逃れられないということではないでしょうか。

最後に四川省の大地震でお亡くなりになられた多くの命に哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈り申し上げます。

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