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2009年4月 9日 (木)

プレゼンにパワポは使うな

最近MSNのポータルサイトでまたパワーポイントの脆弱性についての記事が流れています。

マイクロソフトパワーポイントは言わずと知れたプレゼンソフトです。

今やプレゼンのできない人間はビジネスマンにあらずという風潮にさえなっています。

おそらく、プレゼンもできないくせにいっちょ前の給料をもらいつづけている代表格は一般事務職の地方公務員でしょう。それを自覚したのかどうか、最近の地方公共団体の中途採用ではプレゼン形式の競争試験を行っているところが増えてきています。

それにしてもプレゼンを自分でしたこともない試験官がプレゼン形式の競争試験で正しい評価ができるのか甚だ疑問ですし、そもそも採用後にプレゼンするような部署に配属させるのかも疑問です。プレゼン能力とは常にプレゼンを行う環境にないとすぐ衰えてしまう能力です。プレゼン能力のある旬の人材を採用できたところでプレゼンの要求のないぬるま湯に漬けてしまうとたちまちその能力はなくなります。地方公務員にプレゼン能力がないそもそもの理由はここにあることを…おそらくはわかっているけれど手をつけたくないからそんな採用試験を導入しているんでしょう。でもまだプレゼン形式の競争試験を導入している自治体は意識が高いほうだと評価もしたいと思います。

少し話がそれましたが、プレゼンをよくする人はパワーポイントを非常によく使いこなします。今やプレゼン能力=パワポ能力とまでなっています。プレゼンといえば猫もしゃくしもパワポです。
しかし、そもそもどうしてプレゼンにパワポを使う必要があるのでしょう。私にはパワポがそれほど優れたソフトとは到底思えません。むしろ非常に扱いにくく、プレゼンでは最も重要なはずの図面表現力においてはかなり脆弱であり、私はこの表現力の脆弱性がパワポの致命的欠陥だと思っています。
特に我々地図屋のように、A1判やB1判など大判のグラフィックを日常的に扱っている職業の者にとってA4判規格サイズしかまともに扱えないパワポはまったく使いものにならないソフトです。これまで何度もパワポで頑張ってA3判やB4判にした図面をなんとか操ってみましたが、アニメーションができても部分拡大が非常にしにくくどうやっても画像が粗くなってしまい思うような表現ができませんでした。それで拡大した画像を何枚も作ってページでつなぎあわせ、無理矢理パワポの特性に合わせるように作ったりもしましたがそうするとパワポのために余計な作業量が増えてしまい、相対的にプレゼンまでの貴重な時間を企画内容そのものではなく、そんな不毛な作業に費やすことになります。
おそらく世のビジネスマンの中にもパワポになんとか表現力をつけようとアニメーションやら、文字飾りやらに相当な時間を費やしておられることと思います。それは気の毒なくらい無駄な労力だと思います。
つまり、これほど表現力に脆弱な能力しかないパワポに合わせてしまうと、プレゼン能力そのものに限界がでてきます。
したがってある一定のプレゼン能力をもった人たちが集まるプレゼン会場にて、その全員がパワポを使って発表をしてしまうと、みんな同じレベルのプレゼンになってしまう危険性があるのです。もの凄く能力の高い人でもある程度の能力の人でもパワポは表現力を均一化してしまい、個性をなくしてしまいます。
かつてトヨタが全社的にパワポを自粛したという記事を読んだことがあります。その理由としてパワポはカラー出力の枚数がやたらかさむので、コスト削除のためパワポを排除したという内容だったと思います。トヨタは営業部門だけでなく、生産部門においても業務改善の技術提案を社内プレゼン形式で頻繁に行っています。この常にプレゼンが要求される環境で個人の能力が磨かれることによって、一昨年度までのトヨタの驚異的経常利益を支えてきていたわけですが、そのプレゼンの道具としてのパワポそのものがトヨタのカイゼンの対象となったことは、パワポがプレゼンソフトに適さないことを裏付けた出来事ではないかと思います。
いったい、いつ頃からプレゼンにパワポを使い始め、それが主流になったのかはわかりませんが、パワポに代わるソフトがなかったというのがその大きな要因でしょう。
しかし、パワポが存在しなかった世界にもプレゼンテーションは行われていたわけです。その道具はOHPであったり、スライドであったり、もしくはパネルやホワイトボードや黒板であったりしたわけです。
その頃のプレゼンは発表者の個性により様々な表現が行われ、その能力がイコール表現力となっていました。
誰かが「プレゼンするならパワポのひとつも使えないと笑われるぞ」と言ったような気がします。これは(プレゼン能力=パワポ能力)という錯覚を生み出しただけで、実際はプレゼンにパワポを使う必要はまったくないのです。

私自身、自社の商品を売り込むために2~3ヶ月に1回程度のペースですがプレゼンを行います。最近はパソコン持ち込みで先方の用意したプロジェクターを使って表現するスタイルが定着してきていますが、それでもなんとかパワポを使わない方法でプレゼンすることを心掛けています。パソコンが持ち込めるということは独自のスタイルで表現ができるということです。

地図のようなグラフィックを扱う職業の人はアドビのイラストレータやフォトショップを使い慣れていますし、ウェブ関係の職業の方ならHTMLやフラッシュの作成に慣れているでしょう。
そういう人たちは既にパワポの能力を越えているので、わざわざ表現能力の低いパワポを使うべきではありません。
私自身、直近のプレゼンでは、イラストレータで思う存分表現したグラフィックデータをフォトショップ経由でPDF化してアクロバットでページをつないでプレゼン資料としました。すべてアドビ製品であり、なにより使い慣れたソフトなので資料化までが省力化でき、しかも大判画像をさくさく拡大縮小できるし、フォトショップで画面解像度のコントロールもできるので見せたい拡大率に最も適した画像を作ることができました。最終的にプロジェクターに映したソフトはフリーソフトのアクロバットリーダーですが、思いのほか操作性もよく、先方の反応も良かったので、今後はPDFによる表現力に磨きをかけていこうと思っています。
このように普段使い慣れたソフトを使うことで自分の能力と同じだけの表現力が発揮できます。
ウェブ系であればHTMLが効果的だと思いますし、普段ワードやエクセルやあるいは一太郎なんかに慣れている人はそれでもパワポよりはいいかもしれません。
どれにも慣れてない人はパソコン持ち込み+プロジェクターという形式でなければわざわざパソコンを使って表現する必要もないでしょう。
プレゼンの目的はその内容を知らしめることなのですから、これを表現する道具は本来なんでもいいのです。
ただし、ひとつだけ言えることは「プレゼンにパワポは使うな」ということ。パワポはみんなが使っており、提案を受ける側もパワポに食傷しているため、パワポ以外の道具でプレゼンすることが他社に差をつけるヒントになることに違いないということです。
おそらく、今後はパワポに代わるプレゼンソフトが台頭してくるでしょう。しかし、それが主流になったとたん、それ以外のソフトでプレゼンすることがやはり効果的なのではないかと私は思うわけです。

一億総表現者時代と言われている今、皆さんはどのようなプレゼンをされているのでしょうか。

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