前回の続きです
地震保険って意味あるの?(1)
火災保険などを含む損害保険に関する控除は平成18年度で終わり、変わりに平成19年度からは地震保険控除が始まりました。
地震保険控除額は損害保険控除額と同額で最大、所得税から50,000円、住民税から25,000円が控除されます。
ただし、平成18年以前に10年以上の長期補償のある火災保険で、その後保険内容に変更なく継続する場合は損害保険控除と地震保険の加入もあればこれらを合算した上で、上記の上限額まで控除の対象にできます。
さて、一方地震保険の支払われ方ですが、地震保険は火災・家財保険の契約額に応じ、最大、建物5000万円、家財1000万円まで補償させることができます。
とまでは保険屋さんのホームページなどで出ている情報です。
地震保険にはますます入りやすくなってきているということでしょうか。
さて、では入る価値があるのかないのか、その本質を見てみましょう。
建物・家財への保険金は建物・家財の時価評価額に対してかけることができるものです。しかも土地にはかけられず建物だけの値段です。
例えば、木造一戸建ての場合では土地は含まず、建物だけの新築価格に「建築費倍率」というものというものをかけ、その後「経年減価率」をかけ、建物の評価額をだします(建物の簡易評価法参照)。
新築一戸建て3000万円で建物代がその半分の1500万円の場合、新築なので建築費倍率の係数は1.00で経年減価率もないのでそのまま1500万円の評価額。新築当時同じく1500円で築30年なら1280万円くらいなります。
しかし一方マンションの場合、3000万円で新築マンションを購入した場合、区分所有分の土地代を差し引かれ、建物共有部分の額を差し引かれ、専有床部分だけに対する評価額となり、新築で買ったばかりなのに1000万円を切ることもあります。経年減価率をかけると築何十年したマンションでは対した額の保険をかけることができません。
さて以上は火災保険の場合の額ですが、地震保険はこの額を上限とした額のさらに30~50%に相当する範囲の額で保険金額を設定しなければいけないことになっているのです。
つまり単純に考えると3000万円で戸建てを購入しても750万円しか補償されないことになります。マンションの場合では500万円もありません。
さらにさらに支払いの際ですが、地震保険は全損・半損・一部損で保険契約額の100%・50%・5%の支払いが明確に決まっています。その支払いの額には「時価が限度」というただし書きがついていますが、ここでいう時価もおそらく経年減価率がかけられるのだと思います。
建物の全損が認められるのは、建物の時価の50%以上が損壊、もしくは70%以上が流失もしくは焼失した場合だけに認められます。
全損でないかぎり半損や一部損では保険金額がほとんど支払われないことを意味しています。例えば1500万円の評価額の家が築10年後に地震で半損した場合はその額の半分の時価の半分なので320万円前後です。
マンションの場合は全損はほとんど考えられないので最悪半損であっても、築10年後に罹災した場合には200万円も支払われない可能性があります。一部損に至っては20万円前後です。
そんな金額でははっきり言って罹災した生活を立て直すことは不可能ではないでしょうか。
さらに地震保険には但し書きがついていて、大規模地震の想定被害額を5.5兆円と見積もっているため、支払い合計がそれを越える場合にはさらに目減りすることが明記されています。
さてさてそうなってくると、地震保険。果たして入る価値があるのでしょうか?
保険の掛け金からみると、1500万円の家で10年掛けていると例えば昨日地震が起こった宮城県の一戸建てではだいたい17万円くらいの拠出になります。(地震保険の保険料:財務省参照)それくらいの掛け金で300万円程度の補償があるので意味があるのかもしれませんが、火災保険に比べると割は悪いです。
特に耐震や免震・制震建築のしっかりした最近の新築マンションでは建物の直下の断層がずれない限りは倒壊は考えられませんし、専有部分の被害では一部損か酷くても半損になる程度しか考えにくいので、もっと割が悪くなるでしょう。
マンションでは特に共有部分の建物躯体に損傷があるケースが多く考えられるので、マンション管理組合などでマンション全体の地震保険に加入することには意味がありそうです。
とにかくこれ以上の補償がないのが地震保険です。
地震保険は補償を厚くするような「特約」もありませんし、「お得な地震保険」というものもありません。地震という大規模災害に備えるが故に、誰に対しても補償の厚遇やお得な制度は一切なく、平等で公明正大な保険と言えるのです。
その反面、補償も控えめにされる傾向はありますが、わたしはこれらの保険制度全体は目的にかなり適応した優れた保険だと評価しています。
だからその反面、「お得な地震保険」というようなフレーズを謳う保険会社があればその会社は消費者の無知に付け入ってくる会社だと保険会社全体を疑ってかかる必要があります。
地震保険は保険会社にとっては保険契約はとれるが、補償責任がすべて再保険会社に転嫁できるのでおいしい保険なのかもしれません。しかしだからこそ、その保険理念の公明正大さをアピールし、地震に備える本来の防災意識に訴える必要があるのです。
いずれにせよ地震被害を補償できるのは地震保険しかないのですから。
さて、わたしの場合ですが、おそらく新築マンションの購入のときだけは地震保険には加入しないと思います。マンション管理組合で全体の地震保険に加入することは賛成しますが、耐震建築のマンションに個別に地震保険に入るメリットはあまりないように感じるわけです。
わたしは関西に在住ですが、将来大規模震災が予想されている南海・東南海地震の発生確率は向こう30年で50%越えている地域です。しかしこの予想は海溝型の地震の予想で、このタイプの地震では木造家屋の倒壊はあっても鉄筋堅牢建物の倒壊はそれほど考えられません。
怖いのは直下型ですが、これだけはわかりませんが、少なくとも地形学の知識で、活断層だろうが死活断層だろうが、断層上の物件だけは買わないようにしようと思います。あとは第四紀の旧河道や後背湿地にあたる地形は避けたいですね。
とにもかくにも地震に罹災してしまっては地震保険で補償される額では生活を立て直すことができるかは考えにくいところです。最近は「耐震改修促進事業制度」により土地の「揺れやすさマップ」というものも各自治体で公開されています。これらの情報をつかみ、居住する地域の震度を予想するのも一つの判断材料です。
そういった意味で、地震保険に加入するかどうかという判断に合わせて、どのように地震に備えるかは、結局個人の自己責任に委ねられるのだと思います。
「自分の身は自分で守れ」ですね。
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