地図屋の原点

2008年5月30日 (金)

地図屋の原点(4)

いつのまにかブログを書き始めて1ヶ月が経ちました。

「地図屋の視点」ということで、文学・映画に留まらず政治や経済、環境問題などあらゆる分野を無謀にも論評してきたわけですが、やはりあまり世間の反応を得るにはなかなか厳しいようです。

当初はブログを毎日更新するつもりでしたが、2週間くらいで息絶え、現在は途切れ途切れながらなんとか現在進行形でブログ更新中です。

もしご興味をもってこのブログの訪問をリピートしていただいている読者の方がいましたら、何かコメントでも残していただければ今後も続けていく励みになります。

ブログを始めようとしたきっかけは フラット革命(佐々木 俊尚)を読んだことによります。その前にも梅田望夫著のウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)を読んだときにも多少は思いましたが、文系人間であるわたしの感性に響いたのがこの「フラット革命」でした。

そこには無名の人物が言論だけで世界に言葉を発信していけることの素晴らしさとその後の可能性について語られており、とにかく言論だけでも発していくことの勇気を与えられました。

そこでパソコンの操作能力はさておいて、キーボードを叩くくらいであればできる私が、言論だけでも発信してみようと思えたのです。わたしのブログにはこれまで写真や動画を掲載したことはありません。いつかは掲載したいとは思っていますが、とりあえずは文章を書くことができるわけです。

世の中には非常に価値のある情報を発するブログや、写真画質にこだわったもの、毎日旬の話題を発信するものなど、優れた面白いブログがたくさんあります。しかしそれのどれを取っても、その人の視点で見たものを、その人の文章や写真で表現して発信しているのです。

それならわたしでもできるのではないかと思いました。

わたしは職業として「地図屋」をやっています。そのわたしの視点=「地図屋の視点」としました。

わたしはこれまでの人生の大半を地理バカとして過ごしてきました。地理学を専攻すると将来何になれるのか、はたして地理学は役に立つ学問なのか、そんな疑問には何度もぶち当たりました。

でも少なくともわたしは地理をなんとか職業に結びつけています。

だったら地理学を学習し続けてきた人間がどういう人間になって、世の中に対してどのような視点をもつのかを示してやろうじゃないか、とちょっと大きく出てみることにしたわけです。

地理学は、他者の事例と自ら体験とをもって、ある事象を深く洞察しようとする方法論を持ちます。この方法論は世の中で充分役に立ちます。

わたしが世間一般的な環境問題に疑問を持つことができたのも、自然地理学を学習してきたおかげだと思っています。人間活動より太陽活動の方がはるかにエネルギーが大きいというあたりまえの事実を体験をもって理解しています。木の苗を植えたからと言って大気中の二酸化炭素が固定されるわけではないことを想像できます。温暖化は人間がいなくても起こることを知っています。

これが転じて、メタボやタスポやカーボンオフセットやチベットや携帯電話規制に利権が絡んでいることも想像ができます。新聞やテレビが何者かに操作されているなぁと感じることができます。最近はインターネットニュースも怪しくなってきています。

このような視点が育まれたのも地理学という基礎があったおかげだとわたしは思っています。

これからも独自の視点で世の中を見ていきたいと思います。

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2008年5月15日 (木)

地図屋の原点(3)

昨日に引き続いて私の原点となる地理バカなお話です。

とりあえず学生時代は地理学を専攻していました。

地理学は自然科学と人文科学に境界に位置しており、大学によっても地理学科が文学部に属していたり、理学部に属していたり、文理混淆の学問です。
文系と理系それぞれのいいとこ取りとも言えますが、逆に地理学はそれだけ専門性が希薄だとも言えます。
地理学は歴史地理学とか都市地理学とか水理地理学とか、○○地理学という多彩な分野で分科し、それらを総合することで地理学という知識になります。または、地理学という方法論をもってあらゆる分野にアプローチすることに意義を見いだします。
いずれにせよ、地理学は事例収集によるデータとフィールドワークによる研究者自身の体験の上に語られる方法論を持ちます。
つまり、研究対象の地域や事象に類似する事例(データ)を収集し、その地域の人や物や空気や文化や歴史に直に触れること(フィールドワーク)で新たな事例を整理していき、知識を蓄える学問なのです。
地理学に長く携わればそれだけ多くの事例を体験として研究の内部に蓄積していくことになります。
総じて地理学者は(これまで様々な偉い先生方に会ってきましたが総じて)皆、異常なまでに常識を身につけているという印象を受けます。研究者という人種は、ある意味、人格的な偏りが多く見受けられがちですが、地理学者は偉い先生ほど至って常識人であり、人間的にバランスが取れています。
これは地理学という方法論を試行していく上で、身に付けてきたことではないかと思います。
つまり、地理学者は多くの事例に出会うため、多くの人に出会います。多くのしかもいろんな種類の人々に出会うことは人間としてのバランス感覚が養われていくのだと思います。
ただし、私のかつての同僚でもそうでしたが、鉄道に傾倒し、地理学なのに頑なに鉄から離れられない研究している人はやや偏りのある傾向があるように思われます。これはわたしの経験上の印象ですが。
とにもかくにも、地理学は深く学べば学ぶほど人間のできてくる学問であると思うわけです。
続きはまたいつか。

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2008年5月14日 (水)

地図屋の原点(2)

地形学 (自然地理学講座 (1)) (町田貞著)

という本が私の教科書でした。
誰に薦められたわけではなく、大学の図書館で見つけて以来、この本に書かれてある地形学の知識がイコール私の知識そのものになりました。

デイビスとペンクの大地形論争という、地形学史上おそらくもっとも白熱した論争の両方の立場から大地形を論じてるアプローチ方は非常に高く評価されるべきだと思います。
当時はアマゾンもインターネットもありませんから、その本を求めて本屋に奔走したものです。
大学では私の知識の道しるべであり、いつでもこの本を開いては知識の源としました。
それ以来、幾度も引越しを繰り返す生活をしていましたが、今でもかならず手に届くところにこの本はあります。

地形学という分野に惹かれるようになったのはいつのころからかは分かりません。
小学生の頃には、人並みに鉄道や車も好きでしたが、宇宙や天体の本が特に好きでした。
そのうちに宇宙より地球内部に興味を持つようになりました。
また、人工的なものより、自然の造形物が好きになりました。
基本的に車や鉄道など機械系にはあまり興味がありません。私の世代の男性のほとんどが傾倒するガンダムにもまったく興味がありません。
どうやら人工的な造型品にはあまり美しさを見出せないようです。
人工的とはいえども、芸術とはまた違いますが。
個人的にトーマスマックナイトや藤城清治、ルノワールやターナーなんかも好きです。でも画集を買ったりするまでに興味があるわけではありませんが。

地形学は自然の織り成す芸術作品をギャラリーよろしく整理する分野です。
自然の芸術作品の名称を知り、作品の出来る過程や時代背景を知る分野です。
例えばもっとも身近な河川という地形は、水が流れることによる物質運搬の侵食と堆積の平衡状態によって作られます。
なぜそこに河川があるか?というたった1つの問いからは、さまざまな知識を得ることができるのです。
それこそ原始地球の歴史まで遡ることができるはずです。
たとえアスファルトやコンクリートで人工的に地形を改変したとしても、それはミクロな地形しか変えることはできません。
自然がひとつの地形を作り出すとき、それは地球上の水や空気や熱やその他の化学物質、生物など動きにより形成されます。
それが地球内部に蓄えられたエネルギーであれ、つまりは宇宙からのエネルギーに依存しているわけです。
大きな視野を持つと、目の前の山や足元の平野も、ビッグバン以来始まる140億年の宇宙の営みの結果、今そこに存在しているのです。
そう考えたとき地形学というものがもの凄く興味深く、わくわくするロマンを感じるのです。
おそらくこの興奮は、天文学や物理学、生物学、化学、数学など、宇宙の真理にせまるあらゆる自然科学に携わる人々が得る興奮と同質と思います。
あいにく私は数学が非常に苦手でしたが、地形学という分野から自然科学の面白さを学ばせてもらったと思っています。
私は自分では文系人間だと思っていますが、逆に歴史学や考古学、哲学などの人文科学は好きではありません。
文学は文字による芸術だと思うのでそれはそれでよいのですが。特に学生時代には夏目漱石や三島由紀夫、中島敦のような多少退廃的というか厭世的というか、そういうニヒルな小説がすきでした。

高校時代には、夏目漱石の文学が特に好きで、漱石の座右の名だったという「則天去私」という言葉が、これがデカルトの有名な思想「我思う、故に我有り」とほぼ同義であることを知り、文学や思想の普遍性というものに感動を覚えたこともありました。

と、話がそれだしたので、続きは明日へ。

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2008年4月27日 (日)

地図屋の原点

今日からブログを始めました。

さて何のテーマでブログを書くかと考えていましたが、私が他人とはちょっと違うところと言えば「地図製作会社」で6年も働いているところでしょうか。

地図会社って何してるの?

と興味のそそられる方もいるかと思いますが、それはおいおい話していくとして、今日はプロフィールを兼ねて私が地図屋を目指そうとしたその原点から綴っていこうかと思います。

学校の授業に「地理」という科目があることは誰もがご存じだと思いますが、高等学校の終わりまで地理を学び続けた人は少ないと思います。それだけ地理は人気がなく、マイナーな教科なのです。

逆に地理を学び続ける人は相当な地理好きが多く、総じて「てっちゃん」と呼ばれる部類の人が多い分野でもあります。

先にことわっておきますが、私はそういう部類の人ではありません。しかし、高校や学生時代の友人にそういう部類の人が多く、私よりさらに地理を極めて大手鉄道会社に就職した友人もいますので、そのパワーと探求心には圧倒されることしばしばです。

さて、閑話休題。

私が地理を好きになったきっかけは多分、物心つく前から決まっていたのかもしれません。

幼少の頃、両親は私に「日本地図パズル」とやらを玩具として与えてくれました。どこのメーカーのものか忘れましたが、日本列島が板紙からくりぬかれ、確か東日本・中日本・西日本の3枚組だったと思うのですが、各都道府県がピースになったパズルでした。北海道は確か支庁ごとだったかな?物心つく前からそのパズルを何回もバラしてははめ込んでを繰り返して遊んでいたものでしたから、小学校に上がる頃にはすっかり全都道府県の名前と配置を覚えてしまっていたのでした。さらにパズルには県庁所在地や主な都市名まで載っていたので主な市は何県にあるかもだいたいうろ覚えしていました。

そんな地理アドバンテージをもって義務教育をスタートしたものですから、地理に関する勉強が得意科目になることは時間の問題でした。ここで重要なのが「地理」ではなく「地理に関する勉強」ということ。なんせ地理という科目に分化する前からその分野が好きだったもので、小中を経て高校になるころには「地理」「地学」「無機・有機化学」をもっとも得意とする分野になっていました。逆にそれ以外の科目はからっきし駄目でしたけど。

地理と地学はわからないではないけど、なぜ化学?と思う方もおられると思うのですが、どうやら私の地理好きの志向性は地球内部に向かっていたようで、地形・地質・鉱物・大気・水理といういわゆる自然地理学系の分野が好きなようでした。そしてそれらの要素を規定するのが化学だったのです。

例えば一番わかりやすいのが珊瑚礁地形というやつ。造礁珊瑚は大気中の二酸化炭素から石灰質の骨格を形成し、これが年月を経て珊瑚礁地形という島や台地を形成します。大気から大地ができるこの不思議は化学と地形学によって説明ができるのです。面白くなってきたのでここらでやめときます。

しかしながら、それ以外がからっきし駄目。つまり、英語や数学がだめ、物理や生物や古文や漢文が駄目。ということでまず理系の大学はあきらめセンター試験もあきらめ、地理学がかろうじて存在する私立大学に進学しました。やはり大学でも専攻は地理でした。

そんなこんなで地理どっぷりの環境におかれ、私の地理好きの道は前途洋々たるものになるのでした・・・。なんとそのあとモラトリアムを延長すべく、大学院まで地理学専修で進学したありさま。多少地理は極めたような気がしますが、今はだいぶ知識は抜け落ちてきています。

地図屋を意識したのはそんなモラトリアムを延長したおり。地理学を極めてなれる職業ってなんなの?って本気で焦り始めたのもその頃(遅いって?)

「地理学で飯食って行きたいな」というこがなんとなくの夢というか将来像でした。

そんなこんなでなんとか地図会社というところに勤めて、なんとか飯食っていけてる状態です。

地図屋として飯を食っている人口はおそらく日本で3,000人程度だと思ってます。勝手な推計ですが。あ、でも国土地理院とか地理の先生や教授合わせたら5,000人くらいにはなるかな?ただしまったく根拠のない推計ですので絶対参考にはしないでください。

では次回はいつ更新かわかりませんが、次回から「地図屋の視点」で世の中をばっさりというか、もっちゃり切っていこうと思います。

少しでも読んでくれた人、ありがとうございます。

これから応援よろしくお願いします。

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